麻耶「あ、あ、そ、それは………」
顔を真っ赤にしたまま、麻耶ちゃんが掠れる声を出す。
敦「え、えっと………これ、少女漫画?」
開いていたページは、結構過激な性描写がある。
とても少女漫画とは思えないんだけど………。
敦「これ……麻耶ちゃんの本?」
聞いてしまってから、後悔する。俺は、何を聞いてるんだ。
麻耶「あ、あ………」
案の定、麻耶ちゃんは言葉にならない声を漏らしたまま、ジリジリと後退る。
敦「ご、ごめん。とにかく片付けないと………」
麻耶「ち、違います! これ、私のじゃありません!!」
敦「で、でも………」
麻耶「違うんです! これ、その……私………」
ブンブンと手を振り回しながら、麻耶ちゃんが床に散った本を拾い集めようとする。
敦「………」
散らばった本は、どれもこれも男と女のキワドイ描写がある。
麻耶ちゃん、こんな本を読むんだ。
真面目が服を着たような麻耶ちゃんの意外さに、内心驚いてしまう。
麻耶「あぅ、あぅぅぅ」
もう気が動転し過ぎて、自分でも何を言っているのか分からないのだろう。
普段の麻耶ちゃんからは想像も出来ないような、間の抜けた可愛らしい声が漏れ出ている。
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