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目まぐるしい、慌ただし過ぎる数時間は、それでもあっと言う間に過ぎてった。 
ボクってば何回もミスしちゃって、その度にフォローしてもらって……。 
【響】 
「お待たせ致しました! バニラとストロベリーのダブルになります。こちらがチョコレートと……」 
それでもどうにか、「商品を運ぶ」ってコトだけは、ボクにも出来るようになってきたみたい。 
ちらっとケースの方を見ると、綾がカップにアイスを盛りながら、パチッてウインクしてくれた。 
【バイト1】 
「ふふっ、その調子ー音羽ちゃん!」 
コソッと、他のバイトの人達も声を掛けてくれたり。 
お陰で何とか、ボクは突発のこのバイト、乗り切る事が出来そうだった。 
【響】 
(ううっ、でもこのミニは〜っ!!) 
くぅーって、意識するだけで恥ずかしさが込み上がって来る。 
昨日姿見の前で着てみた、あのミニの方がまだマシだった。 
【響】 
(あっ、あっ、やだっ、見ないでようっ) 
制服のせいか何なのか、店内には男性客もちらほら。 
その人達の視線を、慣れないボクはバンバン感じちゃってて――……。 
【響】 
(うひいぃぃぃーっ) 
ちょっとは慣れたつもりだった「視線」ってモノに、ボクはまた半日、悩まされ続けなきゃいけなかった。
 
 
  
  
 
  
  
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