蝶子は、源氏名を「小蝶」とする葦原随一と名高い
遊郭「花雅屋」の太夫だ。
まだ太夫見習の禿(かむろ)から太夫となって
日は浅いが潔癖そうな顔と、黒くしなやかで美しい黒髪
そして何よりも、巧みで淫靡な性戯によって
葦原でも評判の太夫として名を馳せている。
しかし、そんな蝶子には秘密があった。
蝶子は、かつて地方の名家の娘として優しい両親と聡明な兄の下、
何不自由ない暮らしを送っていた。
ところがある日、母の美貌に目を付けた代官の策略によって
一家を断絶させられてしまったのである。
両親を殺され、兄も勉学に出向いた先で行方不明となった蝶子は
代官の手下によって、葦原へと売り飛ばされてしまったのだ。
耐えがたい屈辱の日々を送りながら、蝶子は誓う。
「どんな事をしてでも生き抜いて
必ずあの男に復讐する……!!」
そして、今……
葦原へと戻って来た代官を陥れる為に
少女の復讐劇が始まる……。