
| ドアが閉まった・・・ | 
| 先輩の部屋のドアが閉まって、もう開かない。 | 
| 今日一日の事が終わったんだなぁと実感する。 | 
| 外は雨が降っている。マンションだから今は関係ないけど、一階に着いて | 
| 駅に着くまでに濡れてしまう。 | 
| どうしよう・・・ | 
| ふと、先輩の家のドアを振り向き直ってもう一度見てみる。 | 
| 傘を・・・借りようかな。 | 
| でも、やっぱり今日の出来事の興奮を頭でも身体でもまだ処理しきれてい | 
| ない。 | 
| もう一度会うのは・・・罰が悪い。 | 
| 悪い事をされた訳じゃないけど、いきなりされた事の衝撃で、それをした人 | 
| が目の前にいると、どうしてもなんか・・・今は・・・ | 
| まだ・・・まだ、じんじんしてるし・・・ | 
| 私の方から、求めたりなんかしたら・・・? | 
| だめだ。やっぱり整理しきれてない。駅までは走って帰ろう・・・ | 
| マンションのドアの横の表札を眺めてしまう。小早川冴子・・・ | 
| 普段苗字でしか呼ばない人の名前・・・本名・・・ | 
| 「冴子・・・先輩」 | 
| 普段呼んだ事もない名前を、そうやってつけてみた。気持ちを落ち着かせ | 
| ようとしている・・・ | 
| 000 | 
| エレベ−タ−ホ−ルがあるマンションの中央まで、廊下を歩く。 | 
| 別になにもしてないのに、悪い事をしておどおどするように身体が卑屈に | 
| なっている。 | 
| 誰かにとがめられないか心配するがごとく、胸に手をあてる。 | 
| 心臓の高鳴りが止まらない。このエレベ−タに行くまでの間に、なんとか | 
| 今日の事を整理したい・・・ | 
| 「先輩・・・」 | 
| さっきまでこの身体が先輩に預けられていた事、それも裸をなんて・・・ | 
| 服を着た心地が雨で蒸れているせいもあってか、全然しない。 | 
| まだ自分が裸でいるような気がして恥ずかしくていられない。 | 
| 手のひらを見てみる、やっぱり赤くなっている。 | 
| 自分の裸が見られた事なんてのを改めて思い返してみる。幼い頃のお母さ | 
| ん・・・飲み会の時に服がだいぶはだけて・・・あと、修学旅行のお風呂・・・ | 
| あの時はみんな自分の裸を見せて、自分の裸も見せた訳だけど・・・そんな | 
| 風に注目していた人がいたのかな・・・? | 
| 男子に見られる事はごめんこうむっていたけど、まさか女子の中にそん | 
| な・・・ | 
| でも、自分なんてやっぱり対象外だっただろうし、まさか自分にそんな粉が | 
| 降りかかるなんて・・・ | 
| 自分の裸に関する思い出が無作為に、秩序無く頭を流れて、ヒントになり | 
| そうなものを拾い出す。だけど矛盾点や一方的な決めつけで答えを見つけ | 
| ようとしている事から罪悪感が重い。先輩が、もう昔っからそんな人だった | 
| かのような決めつけまでしそう。 | 
| レディコミとかだと、その人は最初、社であった時から私を狙って目をかけ | 
| ていて・・・ | 
| 彼氏いない?とか聞いて、様子を毎日伺って・・・ | 
| まさか・・・じゃあ、今まで私に親しくしてくれたのも、みんな・・・? | 
| すぐ様、訳は分からないけど首を振った。別に悪い事じゃないんだし、そう | 
| いう背徳感だけで善悪を区別しちゃ・・・いけないな・・・また、先輩が初めか | 
| らそうだって決めつけて物を言ってる・・・ | 
| でも、関係無いよね。別に、明日からの私がここでどう考えたって変わらな | 
| いんだし。 | 
| 000 | 
| エレベ−タ−ホ−ルに着いてボタンを押す。結論を出すためにゆっくり歩い | 
| ていたのにもう着いてしまった・・・ホ−ルは室内なので雨の音がなんとなく | 
| 遠い。 | 
| ホ−ルにはソファ−と灰皿、それとソファ−を座って眺める先に大きな窓が | 
| ある。 | 
| エレベ−タはなかなか来ない。どうも誰かが乗っているのか、止まっていて | 
| 動かない。 | 
| 仕方なく私はソファ−に腰をかける事にした。窓から外でも眺めれば少しは | 
| 考えを整理できるかもしれない。腰を下ろして、小さなバックを横にそぉっと | 
| 置いた。 | 
| 今、唯一の所持物なので遠くにいって欲しくなかった。それだけ、自分の今 | 
| に・・・ | 
| 身体に自信がない。まだ火照っていて、あの感触が・・・残っている。 | 
| あの道具の正式名称は知っているけど、言うと自分が入れられた事実と重 | 
| なってちょっと頭が痛くなりそう・・・その事は明日もあるんだし、切り離した | 
| い・・・ | 
| 窓の外を見た。窓は雨に濡れて、上からゆっくりと先頭をきる滴が、時には | 
| 止まったりもしながら、時には早く、下に向かって伸びていき結露に穴を作 | 
| っていく。 | 
| 細く、長くしている。私の・・・あそこみたいに・・・ | 
| 「!・・・!・・・」 | 
| そう思った時には身体がかなり赤くなって、また性欲に熟れきっているみた | 
| い・・・ | 
| ふとももをつたう感触とまったく変わりない。 | 
| 窓のてっぺんから広がってあちこちから流れる、結露に穴をあけていく | 
| 水・・・ | 
| 私のあそこからさっきからずっと。先輩の家を出てからもずっと・・・ | 
| あそこを中心に汁が溜まって・・・作りだされて・・・ふとももを枝わかれして | 
| いくつもの淫らな私の線が・・・今も下に向かっていくのが・・・ | 
| 頭の中がいつのまにかその事で埋まってしまった。こんな外を見るだけで | 
| なんでもエッチなものに置き換えて連想してしまうなんて・・・ | 
| やっぱり・・・解っちゃった・・・。明日、先輩に返事をしよう・・・ | 
| ううん・・・いきなりなんて・・・。ひとまずは受け入れる・・・受け入れてもら | 
| う・・・ | 
| そしたら明日は・・・先輩と・・・ | 
| 日曜がこんな事でどきどきするなんて、今までなかった・・・ | 
| 帰ってからの私が解ってしまう・・・明日の行為を楽しみにして・・・きっと一 | 
| 人でこの火照った体を・・・先輩の柔らかい肌を思い出しながら・・・ | 
| 窓越しにエレベーターが来るドアにはまだ明かりの音もない。 | 
| それをいちべつするとスカートをあげて、パンティーを少しだけ下ろす。 | 
| ほんの少しだけ・・・あそこが見える程度にだけ・・・ | 
| 自分の靴だけの両足がなんだか艶かしい。 | 
| ストッキングは匂いがつくし、家も近かったのでポシェットに入れてあったか | 
| ら素足だった。 | 
| だから・・・自分の足を見ただけで艶かしいなんて思うんだ。 | 
| いい事よね・・・自分の身体が好きになったんだ・・・ | 
| 性的な対象として・・・ | 
| 明日になれば・・・きっと先輩は私を受け止めてくれる。 | 
| 自分の身体だけでこんなに興奮するのに・・・先輩の肌をじかに・・・。 | 
| 一緒に戯れる事もできたりして・・・ | 
| 今まで対象外にしていた欲望・・・同性、自分も含めて女の人への憧れ・・・ | 
| こんなに柔らかい肌・・・活かせないものと少し嘆いていた。 | 
| 自身がなくなっていた。どうせ自信なんて男の人につけられるものだからそ | 
| んなの磨く気にならなかった・・・でも磨いていた、気になるから・・・ | 
| 悔しいなんて思ってしまう・・・だってあんなに・・・いい事があるんだもん・・・ | 
| 考えた事はあったけど・・・実際、社会離脱みたいで、そんな相手がいなか | 
| ったら私は・・・ | 
| 良かった・・・やっぱり望んでた通りになったんだ・・・ | 
| 明日も戯れたい・・・今日の夜も一人で戯れたい・・・ | 
| 自分の柔肌・・・育ててきた肌が・・・呪縛から解き放たれたように優しいん | 
| だから・・・ | 
| だからこんなに性欲で頭も身体も埋まってる・・・やっと解った・・・ | 
| エレベーターが来た。エレベーターの中って・・・ | 
| 乗って見ると解った。防犯カメラがついてるんだ・・・ | 
| でも・・・・・・いいよね・・・ | 
| 先輩のマンションだもん・・・ | 
| 「冴子先輩・・・」 | 
| 今度は落ち着いて言う事ができた。先輩は私にとって・・・ | 
| どんな存在になるんだろう・・・ | 
| 期待で内腔がすごくうずいた・・・ | 
| その答えと・・・私の望みを教えてくれるように・・・ | 
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| 自然科学研究所様のホームページ◆ http://homepage2.nifty.com/makubeousitu/page2.htm (管理者の独断ですが、コンテンツページにリンクさせて頂きました。 ご都合の悪い事がございましたら、直ぐにでもメールにてご連絡を頂けると幸いです。) 自然科学研究所様より、清香さんの心理的小説を頂きました!! 清香さんの初々しさ、行為に対する好奇心や冴子さんに対する思い等がよく表現できていたと思いました。 このおまけページ初の小説を投稿頂き、スタッフ一同喜んでおります! 本当にありがとうございました。 :管理者  |