スマホの前に立ち、少し緊張しながら横の画面を確認すると、早くもコメントが入り始めていた。
――誰?
――結構かわいい
――ロリっ子
短いコメントの中に即「かわいい」の文字を見つけ、とりあえずテンションが上がる。
鈴子「は……配信初、なのデス。りんりんサマなのデス!!」
デブに言われたHNを名乗ると、またコメントがだだっと流れた。
――声かわいい
――サマってw
――パンツ見えてるww
鈴子「きょ……今日は“初恋♪くりいむそーだ”を歌ってやるデス! あ、ありがたく聞くのデス!!!」
ビシィッと指をカメラに向けると、照明の色がパッと変わった。
深琴「ねえ……これホントに配信してるの?」
ヤマト「みたいだな……」
部屋の隅でヒソヒソ、深琴たちが囁いている
鈴子「(すごい……ホントにどんどん視聴者が増えてるデス! コメントも……)」
もう一瞥するだけじゃ、コメントが追いきれなくなっている。
鈴子「(きっと、鈴子ちゃんがカワイイからなのデス!)」
照明の当たる肌が、ジンジンするように火照ってくる。
歌はもちろん振りだってカンペキだ。
沼井「ハイハイハイハイ!! オォオ~~~~~りんりんサマァアァア!!!」
沼井「ッっしゃくぞぉおーーー!! タイガー! ファイヤー! サイバー! ジャージャー!!!」
凄まじい勢いでブタのコールが響く。
視線……視線……視線……反応……
深琴たちが小馬鹿にした歌や踊りが、ここではちゃんと認められる。
波のうねりのように大きく体を包む反応が、ゾクゾクするくらい気持ち良かった。