梢 「ふふふのふ〜ん、ね♪」
   花に見惚れているのか、俺が近づいて来ている事に気付いていない。
梢 「やっぱりキレイよね〜」
   花びらをツンツンと軽く指先で突付くと、満足そうに微笑む。
勤 「………」
   何がしたいのかな?
   そう思いながらも、その女性をマジマジと見つめてしまう。
   町を歩いていも、十人中十人が振り返りそうな程に整った顔立ち。
   美女という言葉がピッタリ似合いそうな人なんだけど………。
   でも今、花を見つめているその人は、すごく可愛らしく見えた。
梢 「えっと、この花の名前は………」
   更にジジッと花を見つめたかと思うと、今度は思い出そうとするように宙を見つめる。
梢 「ふふふのふ〜ん、アヤメね♪ 間違いないわ」
勤 「………」
   いや、アヤメじゃなくてソレはラベンダーですけど。
梢 「ふふふっ、勉強してきた甲斐があったわ」
   当然俺の心の中でのツッコミが聞こえる筈もなく、女性はラベンダーをアヤメと思い込
   んだままウンウンと満足そうに頷いていた。
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